藍色の城



そんな矢先のキミからの電話。
出るのを迷ったけど結局出た。



──ほんの10分でいいから…ボクに
  時間をくれないかな…?
  すごく逢いたくなって……
  来ちゃった。



と言うキミ。
慌てて玄関まで走る。
ドアを開けると、ゆっくり
目の前までやってくる。



置いた距離なんて意味なかった。
『コウくん…』て言えば
もうキミの腕の中にいるんだから。



『…逢いたかった』



耳元で囁く言葉に涙が溢れる。
私だって…同じだよ。
どんなに突き放しても、
キミは消えてくれない。



でもダメなの……。
私には、出すべき答えがある。
まだ決心すら出来てないのに
キミは私を掻き乱す。



目が合えば奪われる唇。
羽織っていたパーカーに手が伸びて
脱がされそうになった。



『ちょ……待って…待ってコウくん…!!』









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