藍色の城
『咲妃に逢えない間、どうにか
なりそうだった…耐えられなかった…』
そう言って私に抱きついてくる陽を
振り払うことは出来なかった。
髪を撫でてしまえば、
陽が反応することくらい
わかってるはずなのに。
そっと触れた唇は、
失いかけた時間を取り戻すかの
ように、離れることはない。
優しく、丁寧に、私を愛撫する。
時々緊張感が伝わってきて、
汗ばむ陽の額にキスをした。
『咲妃……愛してる…っ!!』
私の中で果てゆく陽をしばらく
抱きしめていた。
抱かれた後で、
覆い被さる罪悪感……。
私は許してしまった。
心でキミを想いながらも、
陽の涙を見て、
完全に嫌いになれない
自分に気付いて、
失う気持ちがわからなくて、
私はまた抱かれた。
キミではなく、陽に────。