藍色の城
腰に手を当ててうなだれてる。
何か考え込んでる目線が妙に
色っぽくてしばし見とれてしまう。
『明後日から出張なんですよ。
明日はその準備で遅くなるし、
この頭じゃ先方さんに失礼だよな…
うわ~どうしよう…』
言うほどおかしくはないと
思ったからつい、
『ワックスでまとめれば大丈夫
だと思いますけど…?』と
言ってしまった。
『いや、切ってほしいんです。
ぜひ、あなたに。』
『え?私にですか?』
『はい。ダメ…ですか?』
瞬く間に吸い込まれる視線。
為すすべのない身体。
とっさに思いついた行動。
店長に事情を説明して
彼を中に入れた。
戸締まりを引き受け、
他のスタイリストたちは
帰っていく。