藍色の城
ズルズルと乱れ行く感覚。
逢えばいつものように抱かれ、
陽の温もりに触れながら
満たされない心をひっそりと
隠して意識を手放した。
『行ってらっしゃい』
玄関先まで陽を見送る。
靴を履いた後、振り返って
見せる笑顔は相変わらず
好きだったり…。
ギュッと抱きしめられて
軽く唇を重ねる。
ホント、結婚したら
こんな感じなんだろな…と思う。
『行ってきます!!』
何の疑いもなく名残惜しそうに
出て行く陽を見るたびに
胸の奥がズキズキと痛みを増す。
私は陽に応えてあげなきゃいけない。
時間が経てば経つほど、
醜くなっていく自分に嫌気が
差していた。
このまま陽と一緒に過ごして
私は私で居れるだろうか。