藍色の城



出逢った頃は、この先のスーパーの
前でキミに声をかけた。



『ども。』って言ってたキミが
懐かしいな。



あの頃に戻れたらいいのに……。



それでも二人はまた、
同じように溺れていくのだろうか。



たこ焼きを買って、この先を少し
ブラブラして帰ろうと思った。



都合良くキミに逢えるなんてことは
ないだろう。
懐かしい思い出の余韻に浸って
今日は帰ろう。



隣に鎖で繋がれたミニチュアダックス
と戯れていたら、
『ハイ、お嬢ちゃん。10個入り
マヨネーズ抜きね』と声がかかる。



『ありがとう』と受け取って
帰ろうと振り返った時だった。



運命の時計の針は、またひとつ
進んでいく───。



瞳の中に鮮明に映ったキミの姿。
愛しいキミの顔。
再び絡み合う視線。



『コウくん…』
名前を呼んだら…泣いてしまうのに…












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