藍色の城



もしかしたら、
陽は何か感づいているかも
しれない。



必要以上に一緒に居るし
セックスをしてもキスマークを
付けてくるなんて今まで
一度もなかった。



『陽……中はやめて。』



身体を重ねるたびにいつしか
私はこう言うようになった。



『わかってる…』
そう言うけど、いつも抜く瞬間が
遅く感じるのは勘違いだろうか。



『まだ働きたいから』と告げた。



陽は私の仕事を一番に理解して
くれてるし、応援もしてくれてる。
だからどんなに遅くなったって
迎えに来ては『お疲れ様』と
頭を撫でてくれる。



恋人としては満点に近いんだと思う。



何より優しいし、本当は聞き上手だし、
どこでもリーダーシップを発揮するから
後輩たちにもかなり慕われている。
何人か紹介されたりしたけど、
みんなの前でもリードしてくれる
ところが好きだった。



ただその優しさに甘えて、
その優しさを物寂しいと勘違いして、
刺激が足りないと理由をつけて、
私は跡形もなく裏切ったの。










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