藍色の城
キミがお店を訪ねて来てくれた時。
すごく嬉しかった。
キミも我慢の限界を感じてくれた
のかと思うと胸が締め付けられる。
仕事中だから、私情は挟まない。
プロとしての心構えは常に
持ち合わせているつもり。
でもここで、キミの気持ちを試す
ようなことをしちゃったね。
シャンプー台で、周りに
気付かれないように聞いた。
『逢いたかった…!?』
『うん…。』
その一言で私は救われた気がしたの。
陽が気付いたかもしれないから
当分は逢えないと伝えた。
悲しみに暮れた顔で頷いたキミ。
また仕方がないと言い聞かせて
いるの……!?
こんな最低な私をまだ受け入れて
くれるの……!?
ことごとくキミを縛りつけている
だけなのに……。
だから私はキミに溺れていく。
手を差し伸べる。
いつまで絶ちきれないでいる。
キミは優しすぎるから……。