藍色の城
『咲妃さんが言うならボクが言う。』
『コウくんのことは言わない。約束
したでしょ?口が裂けても絶対に言わ
ないって。』
何か言いかけたキミの唇を塞いだ。
もう何も言わないで。
散々キミを傷付けた罰なの。
きっと陽は納得しない。
別れられるかどうかは正直
わからない。
でも、信じてて……。
頬を伝う涙をキミの親指が拭う。
『ずっとずっと…コウくんと
こうしてたいのに…。』
嘘偽りのない本心だった。
誰からも肯定などされない、
幸せな未来などない。
それでも失うくらいなら
私はこの手を離さない。
求め合うこの温もりだけは
嘘じゃないと信じて……。