藍色の城
『咲妃…ごめん。』
抱きしめようとする腕に
抵抗し続ける。
『怖かったんだ…!!咲妃が離れて
いきそうで…違う誰かの元に行き
そうで…耐えられなかったんだよ。』
私の腕は抵抗をやめて、
ただ立ち尽くしてる。
泣きながら言う陽の言葉が
どこか他人事のように
感じてた。
『陽……あんまりだよ…。』
『ごめん…。もうしないから。
だから、ずっとそばに居てくれ。』
こぼれ落ちる涙は、陽の肩に落ちて
じんわり滲んでいく。
目を閉じて心を落ち着かせる。
再び目を開けた時。
『もう私たち……別れよう。』
抱きしめていた腕の力が一瞬緩んで
視線が重なる。
『咲妃…!?何言ってんだよ……』
『私は本気だよ。もうこれ以上、
陽とは一緒に居られない。』