藍色の城
見つめる先に、陽の困惑顔。
終わるんだ……これで私たち……。
『咲妃…俺は嫌だよ。絶対認めない。』
痛いほどに揺さぶる腕。
『ごめん……他に好きな人が居る…。』
俯いたままそう告げると、
私の腕は解放された。
そのまま後ずさりしながら
上着を手に取る。
『俺は別れないから。』
それだけを言い残し出て行った。
静かな部屋に響き渡る嗚咽。
人を拒絶し、別れを告げることが
こんなに苦しいなんて……
あんな顔をした陽は初めて見た。
一瞬で目つきが変わったの。
最後の最後で、
お互い傷付け合って終わるなんて…。
陽との思い出が次々と脳裏を
かすめていく。