藍色の城
こんな私を誰かは偽善者と言うかな。
『私は…陽との子供を産む。』
失いたくないのは私の方だった。
こんな形でまたキミを傷付け
まるで簡単に乗り換えたような
私を許してなんて言わない。
信じられないでしょう?
軽蔑するよね。
子供が出来たからバイバイ。
『好き』だと言ったのにね。
『別れる』って言ったのにね。
何ひとつ守れないまま、
キミの光を奪い、心を蝕んでいく。
慌ただしい廊下。
容態が急変したとのこと。
心臓が一瞬で凍てつく。
『お名前を、呼んであげてください。』
え…?
ちょっと待って…
どういうこと?
『親族だろ』と私の手を引くキミに
連れられ、心臓マッサージを受けて
いる陽を目の当たりにした。