藍色の城



自分勝手でワガママな私に
また微笑みかけてくれる…?



どうしようもない私を
救い出してくれる…?



ねぇ、答えてよ…。
陽の声が聴きたいよ…。



ギュゥっと手を握りしめた時。



『…………!!』



微かに指が動いた気がした。



もう一度、ゆっくり握りしめる。



人差し指がピクッと動いた。



『陽…!?』



中指も動いて、微かではあるけど
私の手を握り返してくれた気がした。



徐々に開く瞼。
黒目がゆっくり動いて私を捕らえる。



『………さ……き…!?』



酸素マスクからでも、はっきり
聴こえる声だった。












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