藍色の城
『咲妃……。』
この静かな病室で、ゆったりした
時間を過ごしてる。
それがかけがえのない、大切な
陽との時間だ。
酸素マスクも外れ、包帯も外れ、
ベットを半分起こして、
普通に会話出来るようにまでなった。
『ごめんな…俺、女々しいよな。
咲妃の気持ち、ちゃんと受け止め
なきゃいけないのに。』
ようやく二人きりで話ができる
ようになった時そう切り出してきた。
まだ言えずに居た。
『でも目が覚めた時、咲妃が居てく
れて…嬉しかった。』
その言葉で救われる。
『咲妃…やっぱりダメなのか?他に
気になってるヤツの元に行くのか?』
とうとう、言う時がきた。
そっと手を添えて視線を合わせる。
『陽…ごめんね。バカな私でごめん。
今頃気付いたの…私の方こそ…そば
に居てほしいよ。』