藍色の城



病室で、家族が揃った時に
私と陽はみんなに向かって報告をした。



『みんなありがとう。』



陽がそう言うとみんなが手を止めて
私たちの方を見る。



『今回の事故ですごく迷惑かけたし
心配もかけた。会社にだってすごく
迷惑かけてる。この歳で自分の無力
さが情けなく思ってる。でも今、心
底みんなの支えが嬉しいんだ。本当
にありがとう。』



少し涙ぐんで声が震えているから
私もお母さんももらい泣きしてる。



『みんなが居たから今日の俺がいる
んだよな。元気になったらバリバリ
働いて恩返しするから待っててよ。』



ご両親は鼻をすすりながら頷いた。
コウくんも下を向いてる。



『それと、もう聞いてると思うけど
咲妃のお腹の中に子供がいる。産ま
れる前に2人で入籍したいと思うん
だ。頑張ってリハビリして、間に合
えば退院してからだけど、もし間に
合わなければ外出許可取って行こう
かな。母さんに送ってもらってだけ
どさ。』



『咲妃ちゃん、息子のことお願いね。』
とお母さんは手を握ってくれる。
後ろでお父さんも優しく頷いてくれて。



思わず嗚咽まじりに『…ハイ!』と
答えた。













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