藍色の城
『それと、昊。』
陽が突然、声をかけた。
メガネの奥の赤い目が必死に陽を
捕らえてる。
『お前にも散々迷惑かけたな。色々
相談ものってもらったし。ホント、
自慢の弟だぜ?』
『ふざけんなよ。気持ち悪いこと
言うなよ。』
『いや、マジだよ。ありがとうな。』
『ばーか。』
私が居るからなのか、クルッと背を
向け出て行ってしまった。
コウくん…泣いてた。
ねぇ、コウくん。
後で陽から聞いたよ。
私のこと、絶対幸せにしないと容赦なく
ぶっ飛ばすって言ってくれたこと。
あんなに兄貴を想ってくれる人はいない
から絶対手放すなって言ってくれた
んだよね。
どうしてそこまで優しいの?
涙が止まらなかったよ…。