藍色の城
陽のリハビリも順調で、歩行はまだ
松葉杖をついてだけど問題はなし。
病室で書いた婚姻届。
お昼過ぎに二人で役所に出しに行った。
『咲妃。俺と結婚してくれてありがとう
。幸せになろうね。』
そう言ってくれた陽が愛しく感じた。
私は、谷原咲妃になった。
大きくなったお腹を時々触っては
目尻を下げて笑う。
そんな陽を、
私が幸せにしてあげたいと思う。
今度こそ、二人で歩いていこうね。
『ねぇ、陽。』
松葉杖を持つ手を止めて、私を見る。
『幸せになろうね。』
そのまま背伸びして陽の頬に
キスをした。
『わわわかってるよ。俺が幸せに
すんの!』って照れちゃって。
『待ってよ!』と松葉杖で私に
追いつこうとする姿。
出逢った頃に初めて見た、
キラキラした笑顔を思い出していた。