ラブファクトリー
「なあなあ、お前の好きなやつって誰なんだよ」
機会がくると、狙ったように毎日こう聞いてくるようになった君。
私としては言えるわけもなくて、ひたすらにごまかしてやり過ごしていた。
だけど、ちょっとずつヒントを口にするようになったのは、心のどこかで気付いて欲しかったのかもしれない。
「同じクラス?」
「うん」
「名前に“こ”ってつく?」
戸田孝平、入ってるよね。
「……うん」
「あっ、分かった!」
君の声に、心臓が大きく跳ねる。
「おい、光輝~」
光輝?
「ちょっと待てー!」
「は?」
「もう一人いるでしょ!」