ラブファクトリー
「りょう」
アドレス帳の一番上に、特別な存在として彼の名前がそこにある。
彼氏ができたらね、ここに入れようって決めてて、ずっと空けてた特等席なの。
ここに彼の名前を入れた時は嬉しくて、すごく誇らしくなった。
こんなに特別に思ってしまうのも、無理はないでしょう?
だって、初めての恋だったんだから。
「ひな、ごめんっ!!」
「遅いんですけど~?」
デートの待ち合わせに一時間も遅れてきた彼を、イライラしながら咎める私。
彼は手を合わせて、許しを請う子犬のような目で私を見つめている。