ラブファクトリー
微妙な雰囲気の中、タイムカプセルは掘り起こされた。
土にまみれて現れた空き缶は、若干の錆びで僕たちに改めて時間の経過を思わせてくれる。
「開けるね」
長田さんの合図で、八年の時間が一気に逆流していった。
男子は青い封筒。
女子はピンクの封筒。
八年前、僕たちは先生が用意した便箋に、未来の自分に手紙を書いた。
タイムカプセルを作りましょう。
その言葉で、僕たちは思い出の品を一つと、その手紙を空き缶に詰めて、土の中に埋めた。
想像も出来なかった。
二十歳の自分なんて。
二十歳ってすごく大人で、仕事も出来て、お酒も飲めて、煙草も吸えて。
小学校の僕からしたら、そこが人生の最終地点だって思ってた。