ラブファクトリー
「え、誰の?」
「先生のじゃない?」
長田さんがそれを裏返すと、また皆に動揺が巻き起こった。
“野波紗弥加”
白い封筒の裏には、綺麗な字で、そう書かれていた。
「開けるね」
しばらくの沈黙のあと、タイムカプセルを開けた時より緊張した声で、長田さんが代表してそれを開いた。
「八年後の皆へ。
皆さん、お元気ですか。野波紗弥加です。
本当は、私も皆と一緒にそこで集まりたかった。顔を見たかった。タイムカプセルを開けて、懐かしいねと、言いたかったです。
でも、それは叶いそうにないので、手紙を残しました。集まれなくて、ごめんね。
皆の成長した姿を必死に想像したけど、ちょっと無理みたい。私の中で皆は、まだあの頃のままです。
転校してきた私を、温かく受け入れてくれて、本当にありがとう。
皆の優しさは、私の中でいつまでも残っています。
どうか、第二の人生を、精一杯楽しんで生きてください。皆なら、何があってもきっと大丈夫だから。
皆の幸せを願って。
野波紗弥加」