ラブファクトリー
僕の瞳から、涙が堰を切ったように、ぼろぼろとこぼれだした。
それと同時に、あの頃の思い出が頭の中で鮮明に蘇り始めた。
「始めまして。野波紗弥加です!」
初めてこの学校に来た君は、あっという間に僕たちのマドンナになった。
色白で目が大きくて。
笑顔で手を叩いて笑う君は、本当に可愛らしくて。
僕は、一瞬にして恋に落ちた。
隣の席になった君に何とか好かれたくて、僕は必死だった。
教科書を見せたり宿題を教えたり。
何かと気にかけて、君に近づきたかった。
君は頭も良くて、テストの点がいいと先生に誉められていた。
僕は、君に近付こうと、必死になって勉強した。
そんな時、君は可愛らしい顔を困らせて、消しゴムを忘れたと言った。
僕はためらうことなく、自分のを半分に折り割った。
大きさなったほうを君に渡すと、君は大きな目を真ん丸くして驚いてたけど、すぐ笑顔になってありがとうって言ったんだ。
その時のまぶしい笑顔は、いまだに僕のまぶたの裏に残る。