ラブファクトリー


初めましてから、どういう経緯で今の状況になったのか覚えていない。


ばしんっと、意味もなく勢いよく頭をはたかれて、
「いったーい!」
と、叫ぶ事数知れず。


「ばーか」

「何がバカなのよ!」


隣の席で一緒になった君に、私はよくこんな扱いをされるようになっていた。


一体、何がどうなってこうなったわけ?
本当意味分かんない!


「も~、あいつ本当嫌い」

私がこぼすと、友達には不思議そうな顔をされた。

「戸田くんでしょ? 普通に優しいけどな~」

「どこが!?」


自分だけに意地悪される事が、嫌われているからだと、ずっと思っていた。

小学校三年生の、春だった。

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