常冬の青春に恋をした!?
男が逃げたせいで、

周りにいた野次馬達が散っていく。

祭りの雰囲気が、

今まであった嫌な空気を中和していく中、

突然グイッと腕を掴まれた。

 
驚いてそちらを見ると、

険しい顔をした碧葉がこちらを

睨むように見上げていた。

「その頬はどうした」

「え?ああ・・・・」

「触るな、痣になっている」

反射的に頬に手をやろうとすると、

素早く手が伸びてきて触れようとする

俺を諫める。

「・・・・さっきの酔っぱらいにやられた」

今になってズキズキと痛み始める頬を感じて、

グッと拳を握り締める。


――やっぱ一発お返ししておけば良かった。


それを聞いた碧葉は

さらに眉間に皺を寄せ、

大きくため息を吐いた。
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