常冬の青春に恋をした!?
よくよく聞いてみると、
『お客様!水槽内は関係者以外
立ち入り禁止です!』
『放さんかこの愚か者!
あれが本物のペンギンに見えるならば
今すぐ転職サイトにアクセスして
別の生き方を模索しろ!』
・・・・よく見ると、
水槽の中から一回りくらい大きな
ペンギンが手を振っている。
柚芽っちはペンギンに
仲間として認められているらしい。
「わー・・・・碧葉相変わらず・・・・」
「っていうか、あの子柚芽ちゃん?
前会った時はおくるみに
くるまってたような気がするけど」
「子供の成長って早いからね」
あちらの修羅場と比べて、
こっちはえらくほのぼのしてるな・・・・
「陽太。遠山さん止めないと、
あの飼育員の命が危ういんじゃないか?」
珍しく真剣な表情で言う修輔。
見ると、碧葉を羽交い締めにしていた
飼育員が一本背負いされていた。
・・・・碧葉は格闘技の心得でもあるのだろうか。
「・・・・止めてくる」
今日が命日にならない事を祈りつつ、
俺は修羅へと近付いた。