常冬の青春に恋をした!?
トレーナーの合図で2頭の白イルカが
くるくる回りながら歌い始める。
「いるかさん、うたじょうずだね」
ニコニコしながら見上げる柚芽っちに
穏やかに微笑み返す碧葉。
イルカショーをしている皆さんすいません。
俺はショーより
碧葉を見るのに夢中になっています。
『―――です!上手く行きましたら
拍手をお願いします!』
気がつくと、すでにショーは
クライマックスに入っていたらしい。
トレーナーの合図でイルカたちが
プールの底に潜っていく。
『3・2・1、ジャーンプ!』
かけ声を聞いていたかのように、
2頭のイルカたちが高くジャンプした。
惜しみなく差し込む日差しを受けて、
真っ白なイルカたちが空を舞う様子は、
まるで輝いているようだった。
「すっげー」
思わず口を開けて見惚れてしまう。
が、その時。
――ポン。
・・・今、隣から聞こえたのは何の音だ?