常冬の青春に恋をした!?
「そうか。貴様にぬいぐるみとの
対話・翻訳能力があったとは。
随分とメルヒェンなものだな」
言葉が痛い!視線が痛い!
このままだと俺ハリセンボンになるよ!
「で、幾らだ」
「はい?」
「ぬいぐるみの値段だ」
そう言う碧葉の手には、
いつの間にか財布が握られている。
「別にいいよ」
「そう言うわけにはいかん。
金に関することはキッチリせねば」
あーダメだ。
碧葉頑固モードに入ってる。
だけど今回は引かない。
「俺が柚芽っちに買ってやったのは
あくまでも俺の自己満足だ。
それなのに碧葉が代金を払い直したら
俺が押し付けたことになるだろ。
だから金はいらない」
言ってるうちに何が言いたいのか
わからなくなってきた。
でも何となくは伝わったのだろう。
碧葉は考え込むように動きを止めると、
「少し待っていろ」と言い残して
売店へと足を向けた。