常冬の青春に恋をした!?
肩に乗せていた俺の手を振り払い、
碧葉は自身の首もとに手を伸ばし・・・・
いつも下げていたチェーンを
引きちぎった。
「それが言いたかったのなら、
これで用はないだろう!
とっとと失せろ、この死神が!」
パンッ!
突然、乾いた音が辺りに響き渡った。
それと同時に、掌がジンジンと痛む。
それでようやく、
自分のしたことに気付いた。
――俺、碧葉の頬を打ったんだ。
「本当に、
どうしちゃったんだよ碧葉・・・・
こんなの、碧葉らしくない」
手を上げてしまったことと、
いつもと違う彼女の様子に
動揺しながら尋ねる。
「・・・・“私らしい”って、何だ」
俯いたままの碧葉が呟く。
ゆっくり顔を上げてこちらを
見上げる碧葉の表情は、
さっきまでと違って、
迷子になって途方に暮れる
子供のように見えた。