常冬の青春に恋をした!?
「──ま、情報を漏洩していた犯人の

目星は付いている。

後でじっくりと尋ねればいいか」

ぼんやりと考えていると、

食事を終えた碧葉が弁当箱を片づけて

大きく伸びをした。

「へ?誰?」

「綾香だ」

あっさりと言うが、

俺もそんな気がしていた。

俺たちの関係を知っているのは、

碧葉サイドでは綾香だけ。

俺サイドでは修輔しか知らない。

綾香だったら、幼馴染として

碧葉のねーちゃんと通じていても

不思議でもないしな。

「やっぱそうか・・・・」

「口止めをしていなかった己の

迂闊さが恨めしい・・・・」

うつむきながら言う碧葉の背後には

黒い靄のようなものが立ち昇っている

ように見える。


怨念がおんねん。みたいな。

そんなばかばかしいギャグで

わずかに芽生えた恐怖をごまかしながら、

二人揃って屋上を後にした。
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