花菖蒲
「それも憶えておきます。ついでに強欲な妹がおりますので、注意してくださいとも」

「承知してれば良し」

 商店街を忙しなく自転車が通る、それも次から次と、当てられないように、避けながら歩く。

 「お父さんに言ってたけど、収入良いんだ」

「プロに成って知ってんだけど、自由業にしては良いんだな。特に女性に有利だね、まして美人の私には」

「ねえ、理英今度茅ヶ崎に行かない。私報告もあるし、一緒に行ってくれないかしら」

「私、この前行ったよ。そしたら美英ちゃんどうしてると、聞かれた」

 「ひとりで行ったの。言ってくれたらよかったな」

「丁度、近くで囲碁の講習会があったの、それでね、寄ったと言う訳」

「行くなら、教えてくれたら良かったな。秘密主義は貴女じゃ無いの」

 「でも行こう。時間無かったから、あまり話して無いし。でも進太郎さんと出かけた方が良く無い、歓迎されると思うよ」

 「良いのよ、それは又、日を変えて行くから」

「でも、少しお菓子を持って行ったんだけど、帰りにこずかいを沢山いただいちゃった
今日お父さんに渡したより多く。もう働いてると言うのにね」

 「それも、貴女の臨時収入」

 「まあ、多いの越した事は無いか、くれると言うのに断るのも、失礼だしね」

 「貴女なりの納得だわ」

 「機にありて、変幻する。囲碁の基本ですわ」

 「それも先生の教え」

 「私の経験からの手法なり」

「忘れなでよ、茅ヶ崎に行く事」
「うん、勝ってくるぞ勇ましく、誓って家
を出たからは、勝たずに戻って帰らりょか、行って来まーす、姉上様」
(続く)
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