BE MY ANGEL
「もしかして私を疑ってるんですか?」


美姫も中年の刑事を見据えて言った。


「いいや。君は女性だし、そのお腹じゃまず無理だろう。安心してくれたまえ」


中年の刑事は美姫のお腹をちらっと見て言った。


「橋本は今回の件以外にも友人に金を借りたり、暴力沙汰でトラブルを起こしたりしているので、現在怨恨の線でも当たっています」


若い刑事が付け加えた。


「それでも男を背負ってそこから突き落とすのはまず不可能だろう。ヘリコプターを使えば可能だが、高層ビルが立ち並び、真夜中で視界の悪い中飛ぶ奴はいない」


中年の刑事がソファから立ち上がり10階のマンションから外を見上げた。


「羽の生えた天使なら可能かもしれないがね」


そう言って中年の刑事は美姫に微笑みかけた。
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