BE MY ANGEL
「美姫が見てた夢っていうのは・・・?」


「トーリはこの時代にやって来てから毎日未来の夢を見ていた。ロボットと戦う夢だ。記憶を消されても潜在意識に残っていたんだろう。戦闘のパートナーであるオレも出てきたらしい。知らなかったのか?」


「うん・・・」


「お前ほんとにトーリの友達かぁ?まぁ、あいつの秘密主義は昔からだけどな」


確かに私は美姫と親友だと思っていたけど、美姫のこと何にも知らなかったんだってこの時初めて気付いた。


「美姫は英王先輩ともう会えなくなっても平気なの?運命の王子様って言ってたのに・・・」


「ああ。トーリは全て理解した上でここに来た。例え未来に招致出来ると言っても、あいつはそれを嫌がった」


「どうして?」


「今も言った通り、未来では食べる物が制限される。船内で育った米、小麦、野菜等しか食べられない。しかも人間なら放射能に覆われているから外には一歩も出れない。ロボットも常時襲ってくる。何でも飽和状態にあるこの時代から未来へやって来れば、閉塞感はとてつもないだろう。トーリはヒデオにそんな思いをさせたくないんだ」


「美姫・・・」


美姫の優しい笑顔が浮かんだ。
< 165 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop