miss.
ピンクのリボンとベージュのカーデ
「私、あの子やだ……」
昼休み、持ち寄ったお菓子をかじりながら愛美が呟いた。
私たちの教室がある北校舎から見える、中校舎の廊下。
そこには、佐野と学年で三本指に入る美少女・林田莉子の姿があった。
「珍しいね、愛美が人を嫌うなんて」
愛美は、冗談で"嫌い"と言うことはあっても、本気で言うことはまずなかった。
むしろ、本当に嫌いな人に対しては"嫌い"と言わず、"いやだ"と言った。
「なんかよくわからないけど、仲良くしたくないなって思う」
「そう?」
華菜恵が首をかしげた。
八重歯と巻いたフワフワの髪、黒目が大きいくりくりの目……
女の子の憧れそのもので、私自信も羨ましく思う。
「かわいーじゃない」
「そうかなぁ……」
私も愛美と同じことを思った。