ディア・ロマンス
溜息を吐き出し、机の横に鞄を掛け席に座った私をじっと見つめながら加島くんは不満げな声をかけてくる。
「何で敬語?」
それに私は当たり前と言わんばかりに即答。
「親しくしようと思ってないからです。他人行儀で充分でしょう?」
キッ、と真っ直ぐに見据えながらそう言った私。加島くんはというと、驚いたように目を見開いている。
かち合っていた視線を乱雑に解くと、一時間目の授業の準備を机の上に出す。
…正直、あまり話しかけないで欲しい。加島くんが悪い訳じゃないけど、今のクラスの雰囲気を見ても明らかに彼は目立っている。