ディア・ロマンス
「(三笠さんめ、愉しんでるな…。)」
こっちをチラチラ見ては肩を震わせて笑っている三笠さん。何だあの人、助けろよ馬鹿。
ギロリと眼光鋭く睨みつけてやれば、笑みを隠すことはないが品出しをまた始めた。
あの大人は役に立たない。ああもう、お客さんどなたでもいいんで助けて下さい。
目の前のそいつは、れーいと間延びさせながら私の名を呼んできた。
それに何、とぶっきらぼうに呟いて返すと。
「明日の朝、な。」
「…は?」
何が言いたいのか主語のない言葉に首を傾げた私に、加島くんはニヤリと笑いまた意味深な言葉を残した。
「明日になれば、嫌でも分かる。」
その声が、やけに自信に満ちあふれていて腹が立ったのに。
何か脳を擽るような甘さがあって、胸が苦しくなった。