ディア・ロマンス
あー、面倒だ。
そろそろ手首も痛いし、仕事の邪魔だし…。
なんて思いながら店内を見渡してもこの男達以外に客はいない。最悪。
「……学校、教えたら帰ってくれるんですか。」
溜息混じりにそう言った私に、男は得意げに笑いああと(気持ち悪く)眉を上げた。もう怠いからどこか別の校名言って帰ってもらおう。
そう思った私が口を開きかけた――――――
瞬間。
「レジ、並んでんだけど。」
低く、でもどこが透明感゙を感じるような…。
一言で言えば《綺麗》
そんな声が、頭上から鼓膜を叩いた。
「んだよ邪魔すんな!」
と喚く男はスルーで、私はその声の主を見上げた。視界に飛び込む赤色に近い焦げ茶色の髪が印象的で、身長も高い。
ぱっと見、すかした男だと思ってしまう。