ディア・ロマンス
と。
その時だった。
ゴウッと正面から肌を刺すような冷たい風が吹き思わず目を閉じてしまう。なんだ、この風と気候による現象へ文句を心の中で吐き出す私。
詩織と光も幾分か鬱陶しいと言わんばかりに、乱れた髪を直したり服を直したりしていた。
私も例外ではなく、少し乱れた髪とスカートを叩いて直す。
――――今思えばこの風は、嵐が来る予兆だったんじゃないかと思う。
目を開け、ふと視線を2人の後ろへと流した私は。そこに揺れるそれへと一瞬で意識を持ってかれた。
「あ、」
なんて思うよりも早く声に出してしまった私へ詩織と光はどうしたの?と首を傾げている。