空色新聞社 〜アイを叫ぶ15のボクら〜
「 なにこれ。 」
縁側のある部屋
居間のテレビは、ついていない
金物屋さんから
安く譲ってもらったタライの中には
昨日、八百屋さんから買って来た
スイカが丸まる、一個浮いてる
そんな庭を背にして
ちゃぶ台の上を見ながら
眉をひそめるユウくんの顔
「 なに… って
" こどものビール "だよ?
駄菓子屋さんで見つけたんだけど
コップに入れるとソックリなんだ! 」
「 …見た目どうこうより、
味がビールの物がいいんだけど 」
「 いいから試してみなって! 」
「 …… 」
ユウくんは
お盆に乗せたビールグラスを一つ取り
昔の少女ぬりえみたいな絵のある
茶色いフィルムが貼られた
ペットボトルを開ける
そそがれる麦茶色の液体と
白くシュワシュワと、膨れ上がる泡
「 おお 」
「 ね?! スゴイでしょ?! 」
ユウくんはそれを光に透かして
しばらく炭酸が沸き立つのを
ジーッと見て、少し、口をつける