空色新聞社 〜アイを叫ぶ15のボクら〜
「 ハザマさーん!
ビール飲みますかー? 」
「 え… あ、あるの?!
あるならぜひとも飲みたい! 」
「 あはは!
さっき帰って来る時
ちょっと怖そうなおじいさんに
たくさんもらったのー! 」
「 そりゃ鉄さんだ! 」
「 そりゃ鉄っちゃんだな! 」
マサルさんと
風呂から上がって来た
ボクの声が重なって
マサルさんの奥さんとアイちゃんが
一緒になって笑ってる
――― 明日は世界の滅びというのに
ここは相変わらずの、下町の空気
船は、朝日を待って
月に向かって出発する ―――
驚く事に、月の中は空洞になっていて
元々、地球人は
大昔、そこからやって来たそうだ
"LostLove"患者の人達は
一応、地下の特別都市に移動
五年から十年くらいは
安全に住めるらしく
ボクらも、朝起きたら
すぐにそこへ 避難するよう言われてる
地上は
降下して来て根を張って
つぼみ、開花、結実、そしてコア化
それが吐き出す
人間にとっては猛毒の花粉で
空気も全て、青になるらしい
「 ――― ねえ
ユウくん アイちゃん 」