空色新聞社 〜アイを叫ぶ15のボクら〜
投げ出されていたのは
絡まった根と、透き間に見える
だいぶ侵食された、船の上らしきところ
―――― ユウくんを
無意識に、かばっていたのか
額から血を流した顔は
ボクの体の下だった
「 …ユウくん
―――――… ユウくん!! 」
「 …う 」
眉にシワを寄せて
狼みたいな眼が、眩しそうに開いた
「 … ロボット 」
「 ――― え? 」
「 … ロボ
俺たちの事、守ってくれたんだ 」
船の上
体中に、たくさん弾を受けて
ボロボロになったロボットは
ボクたち二人をかばう様に
四つん這いになって
外装も全て溶け落ち、くず折れていた
――― 機械に、命なんかない
そんなのは わかってる
すべては"プログラム"なんだろ
アイちゃんを愛するユウくんを
自分の乗り手に選び
ピンチになると かけつけてくれた事も
でも
泣けないロボットの代わりに
ボクが泣いたって、いいじゃないか…
「 ――… アイを 助ける 」
ユウくんは
片足を引きずりながら "LostLove"に
アイちゃんに向かって歩いて行く
「 ――― 待て!! ユウ!! 」