空色新聞社 〜アイを叫ぶ15のボクら〜
ボクの声に、驚くでもなく
前を見たままユウくんは
歩くスピードをゆるめた
ユウくんのワキに、頭を通して
支えながら進む
何が邪魔することもない
鮮やかな色と、無音の空間
手品で、手から湧いて来るみたいな
ふわふわとした、緋色の花が
咲いては散り、咲いて散りして
たくさんたくさん舞っている
「 ――… アイ 」
ふくらんだ 幹の中に光る
ウエディングドレス姿
ヒザを抱えた、小さな少女
「 ――… なんかだいぶ
植物っぽくなっちゃったじゃん 」
皮膚には葉脈
瞳は 緑色
それでもまだ、意識はあるらしく
呼びかけに対してニコリと微笑み
ゆるりと顔をあげて
ユウくんの瞳をまっすぐ見つめた
「 … なあ
なんで"俺"を 選ばないの? 」