空色新聞社 〜アイを叫ぶ15のボクら〜
「 … 検査? 」
朝食のおにぎりを頬張り
扇風機の風に
ランニングシャツを煽られながら
眉をひそめて、
ユウくんがボクの顔を睨む
「 うん
ちゃんとした方がいいと思うんだ 」
「 … 俺達がここにいるのが迷惑なら
アイと二人で、すぐ出て行くよ 」
「 な…! なんでそんな話に飛ぶ?! 」
「 …検査なんて
体よく実験台にされるのが関の山
―― その前に、夏が終わるだけだ 」
「 ――… あ
か、体 … 調子はどう?! 」
「 …童話みたいに
キスしたから治ったのかもね
昔話って意外と
その辺りの秘密隠してあるから
万能細胞が発見されたのは皮膚
昔話の" あかたろう "なんて
その代表だし 」
「 ―― おもしろい事考えつくなあ! 」
「 だからもしかしたら
俺の汗とか、アイの血液とか…
それが反応してみたいな事も
一瞬 考えたけど…
俺は
アイが辛い思いするのは嫌だから… 」
ユウくんは
アイちゃんの口の端についた
お米の粒を、取ってあげて笑った
「 ハザマさん
あなたこそ、船に乗ればいいのに 」
「 …… え 」