空色新聞社 〜アイを叫ぶ15のボクら〜
曇りひとつない、青を背にした消失点から
大小の、いびつな四角を作り延びる
黒い電線と柱、そして線路
右側には商店街の
アーケード看板と屋根
左側には
少し遠くに、高架橋と
だいぶ水の少なくなった川と、
人の影の見えない河原沿い
BGMは、風とセミの声だけではなくて
ユウくんのバンドで聞いた事のある
明るいバラードのデュエット
――… ついてきちゃダメって言ったのに
ボクがクルっと振り返ると
少し距離をあけて歩いていた二人が
石の音をたてて、足を止める
「 … 別に
俺達、デートしてるだけだし 」
アイちゃんは嬉しそうに
ユウくんに支えられながら
線路の上で、バランスを取る
二人の影の真ん中に
ボクの影が延びていて、
今更ながらにハッとした ―――