空色新聞社 〜アイを叫ぶ15のボクら〜
「 ……わからん
ただ頑なに、拒否しよった…
ワシが乗っても…うんともすんとも
動かなかったんじゃ… 」
おじいさんは
薄いフトンの上で
シワシワの手を、強く握る
そして数回、自分の足を叩いた
「 ―― 横から口を挟んですみません!
あの…ボクも『花びら』は見えません
でも、その『木』の正体って
一体なんなんですか?! 」
ボクのその声に
ジッとユウくんを見つめていた目が
力無く、こちらを振りむく
「 ――… 最初は、わからんかった…
最初は…花粉症
人間を終始、朦朧とさせ
思考能力を鈍らせる
… なぜだかわかるか?
物言わぬ植物たちが出来る
精一杯の警告…
しかし ―――――
それでもダメだと悟った植物意識体は
人間から、感情そのものを
奪い去る事に決めたのだ… 」