バニラ
――えっ…?

言われたあたしは意味がわからなかった。

「わからない?

簡単に言えば、理彩がケーキになるんだけど」

そう言った恭吾は、ジョーダンではないみたいだ。

「――きゃっ…!」

あたしが黙っているのを肯定と捉えたのか、恭吾がソファーにあたしを押し倒した。

「だってケーキがあるんだから」

テーブルのうえのケーキを見ながら、恭吾はニヤニヤと笑った。

いや、違います。

そのケーキはプレイのためじゃないです。

ちゃんと食べてもらうために作ったものです。

「恭吾、待って…」

止めようとしたあたしに、
「待てない」

恭吾はさえぎった。
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