夢幻双子
「見ない顔だな。
お主…巫女か?
なぜ此処にいる?」
「巫女…じゃねぇな。
なぜって言われても、知らねぇ。
此処がどこなのかなんて、こっちが教えてほしいくらいだ。」
男が嘘を言っているようには見えなかった。
「此処は…私の夢の中。」
「はっ!冗談言うなよ。新手の口説き文句か?
そういうのはもっと色気やら可愛げを使ってやるもんだ。」
男の言いぐさに、真星は眉一つ動かさない。
「…変に聞こえるかもしれぬ…が、冗談などではない。
信じるも信じないもおぬしの勝手だ。
しかし、それが事実。」
「…そう」
男は怪訝な顔つきをしたまま黙り込んだ。
確かに、そうですかと聞き入れられるものでもない。