夢幻双子
真星をお告げの元へ連れていってくれる夢見鳥もまだ姿を現さない。
「どうしたら帰れる?」
男の問いに真星は指さす。
「夢見鳥について行けばよい。」
「夢見鳥?蝶?」
真星が指さしたのは蝶であった。
「あれが夢見鳥。」
「じゃあ、あれについていけばいいわけか。」
真星は頷く。
「そしたら帰るわ。仕事があるんで。
悪いな、綺麗なお嬢さん。
折角夢にまで呼んでくれたのに。
俺は葛木(かつらぎ)だ。」
「真星だ。」
「そうか。真星、今度は外で会うかもな。」
「…」
夢見鳥に導かれ葛木は姿を消した。
(時間か。)
帰りを導く夢見鳥が真星を待っていた。
(仕方がない。)
真星は夢見鳥に導かれて現世へと舞い戻った。