夢幻双子




「良くお越しくださいました。こちらです。」



宮に着けば使女が決して歓迎いない面持ちて出迎えてくれた。



「あの、他の者たちは?」



「皆様こちらへ」



使女に案内され、建物内に入る。



相変わらずの広さとピリッと張りつめた冷たい空気に溜め息が出た。




外の光が一切入らないくらい奥まった場所に御方はいらした。



真星は一人奥に通され、薄い布の後ろにいる姿の見えない御方様に向かって深々と頭を下げ、いつもの如く挨拶をする。



「お久しゅうごさいます。」



「真星か。先読みをしたのだな。上の方様はなんと。」



とても年をとった老婆の声、村の婆様とは違うがやはり力のある線が一本通った声が言う



「去年の流行病はもうないと。」



「そうか。それは良かった。
では何故その様に不安そうにしておるのだ。」



真星はいつも不思議に思う。



お方様は声を張り上げているわけではない。


なのにベールの後ろにいるはずのお方様のこえはいつも隣にいる人が話すように聞こえる。




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