夢幻双子
「…夢が」
「夢?」
「はい、いつもお告げの後にみるお告げ場の夢に見知らぬ者がいました。」
「見知らぬ者‥?」
「冷たい目の…男にございました。」
「…用心なさい。その者はある意味お前の運命を握るもの。
そやつはお前の味方ともなりうるが、敵となりうるもの。」
「…運命?はい」
二人は押し黙り、真星が口を開いた。
「今日はもう」
「ああ、宜しい。
わしも少し疲れたからのう。
お主も長旅故、疲れたであろう」
「では、失礼致します。」
真星が立ち上がると御方様は珍しく真星を呼び止めた。
「‥真星、まだ此処に身を置く気はないか?」
突然の問いに真星は戸惑い奥の部屋をみつめた。
「…今はまだ」
「そうか。くれぐれも気を抜かないことじゃよ。」
そう言い聞かせるように言い、真星が部屋をでたあとに呟く。
「此処に居れば息災から逃れられたであろうに…。
お前はまだ、現実を見つめる勇気が無いのじゃな。
表面上の幸せに捕らわれ、また騙されてしまうのか?
真星よ」