夢幻双子
でも真星は昔と変わらず真星であることを知っていた。
真赫はふと気づく。
微かではあるが川の水に混じった血の臭いと火薬の臭い‥。
最近神経を研ぎすませば村の近くの森の中を武器を持った男たちが歩いているのがわかった。
この村まで戦渦が及ぶことはないだろうと思っていたが、こんなに近くまで傭兵であろう男たちが歩いているのを感じると不快感と嫌悪感に襲われ真赫は眉をしかめた。
争いごとは好きじゃない。
特に関係ないのに巻き込まれる争いごとは。
真赫は洗濯をしていて濡れてしまった髪を手に取りかきあげた。
「…真星か?」
誰かの声に真赫は身を固まらせる。
人の気配など無かったはずなのに…真赫は後悔した。
声のした方を振り向くと肩と大腿付近から血を流した男が立っていた。
「‥去れ、我々の村を巻き込むな。」