夢幻双子
【狭間】
(此処はどこだ…)
葛木はまだぼやけた意識の中目を覚ました。
(俺は撃たれた。…死んだか?)
「意識がもどったのか?気分はどうだ?」
葛木は全身の神経を張り詰めさせる。
「そんなに警戒せずとも、怪我人相手に何もしやしない。大体自分で会いに来たのだろう」
「…じ‥ぶんで?」
「そう。三日間意識は戻らず、その間わけの解らない譫言ばかり。良く意識を回復したと思う。もう少しで死ぬところだった。むしろ死ねば良かったのにな」
「っんだと!?」
その瞬間葛木は勢いよく起き上がった。
「げほっげほっ」
「…急に起きあがるからだ、馬鹿者。で、何のようだった?」
「用…お前誰?」
「誰とは失礼なやつだな、自分から声をかけておいたうえに勝手にたおれたくせに。お前こそ誰だ?」
「…だから、自分で来たって何だ?俺は戦にいてっ…」
「知らぬ。それでやられたわけだろう。そんなのだから行きずりの人間にどこかの女の名前なんか呼ぶんだ。」